食うべきか?食わざるべきか?





月下がいつも行くスーパーマーケットでは、”その手の保護団体からクレームが来るんじゃないか?” と、思わず余計な心配をしてしまうような食材を売っている。


それは、白いトレーに載せられて、ラップがかけてある。
3センチ角程度のぶつ切りになっており、一見、牛肉の赤身にも似ている。しかし、その上には脂質と思しき白い層があり、さらにその上には黒っぽい皮がついている。


これ・・・・実は ”イルカ” の肉。 Σ( ̄□ ̄ えぇっ!!


聞くところによると、お醤油とお砂糖で甘辛く煮付けて食するものであるらしい。煮ているとぶくぶくと泡が立って、ずいぶんアクが強いんだそうだ。昔は重要な蛋白源であったという話だが・・・・ ・・・( ̄  ̄; うーん


とにかくイルカである。


イルカといえば水族館で飼育されてて、みんなに愛嬌を振りまいて、芸までしちゃう人気者である。食材というより、むしろ愛玩動物でしょう、アレは。


ところで。


人間が何かを食べようとする時、『コレは食べられるモノか?食べられないモノか?』 という判断は重要だ。”これは無理でしょー・・・” と判断するからこそ、コンクリートブロックを齧る人はいない。


しかし、それだけではなく、『自分がそれを食材として認識しているかどうか??』 ということが、わりと重要なファクターなのだ、たぶん。つまり、イルカを”愛玩動物”ではなく”食材”として認識している人にとって、これは紛れもなく ”食材” なのだろう。


イルカのパックを手にとり、じぃーーっと見つめながらそこまで考えて、なんとなく納得したので、私はイルカのパックが並んだ陳列棚を後にする。結局、イルカは買わなかった。そして、スーパーの中を歩きながらふと思う。


『あれっ!?イルカ売ってたの、鮮魚部だったよなぁ・・・
                    あれって、動物だろ?? (―"― ; タラァ・・・』