とにかくアレを塗っておこう、アレを。





世間では 『病は気から』 なんてことを申しますが。
先日、すごいお婆さんに遭遇したので、みなさんに御報告しようと思います。


病院で処方箋をもらったので、それを持って行きつけの薬局に行ったときのこと。薬剤師をしている奥さんとおしゃべりしていると、ひとりのお婆さんがお店に入ってきました。


彼女 : 「いらっしゃいませ。 ( ̄▽ ̄)ノ 」

お婆さん : 「え〜〜と、これと同じ薬ありますか?」

そう言って、おばあさんは手提げ鞄から古ぼけた塗り薬の箱を出して、彼女に手渡しました。

彼女 : 「あぁ、ムヒですね。ありますよ。虫に刺されましたか?」

お婆さん : 「いやぁ〜、ココが痛くてね・・・・」


( ̄  ̄;) ん…?

・・・・ちょ、ちょっと待て。ちょっとタイム。
今、確かに、『ここが痛くて』 って、言ったよねぇ?言ったよねぇ?
ムヒはさぁ、かゆみ止めだろ?かゆみ止めはかゆみを止めるもの。痛みを止めるのは、痛み止め。かゆみ止めで痛みは止まらんだろ、婆さん。


彼女 : 「え?痛いんですか?これムヒですよ。かゆみ止めですよ。」

お婆さん : 「いや、それを塗っておくとね、痛みが治まるのよ・・・・ほら、ココ。」

お婆さんは、ズボンの下に穿いたモモヒキだかステテコだか何だか、得体の知れない何かをたくさんまくり上げて、ようやく現れたふくらはぎを指差しているわけですよ。


彼女 : 「あ・・・・あぁ〜〜・・・・( ̄▽ ̄ i)  これにムヒ、効きます?」

お婆さん : 「ん〜〜、よく効くよぉ〜。 (  ̄ー ̄) 」

彼女 : 「でもねぇ、お婆ちゃん・・・・これ、静脈瘤だから。」


Σ(- -ノ)ノえぇ!? 
ムヒって、静脈瘤の痛みにも効くのか?かゆみ止めなのに?すごいじゃん。万能薬じゃん。この分だと、おできにも、痔にも、効くんじゃね?いや、効くって。絶対効くって。


彼女 : 「静脈瘤はムヒじゃ治らないわ。病院に行った方がいいと思いますよ。」

お婆さん : 「もう歳だからねぇ、対処療法でいいんですよ。」


”対処療法” なんて難しいこと言うわりに、対処の仕方、無茶苦茶ですから。
なんなら、バファリン飲んだら下痢止まった、正露丸飲んだら毛が生えた、みたいなことになってますから。


彼女のアドバイスも虚しく、結局、お婆さんはムヒを買って帰って行きました。きっと今夜もお風呂上りに、あのムヒを静脈瘤にすり込んでいることでしょう。


そう。病は気から、なのであります。
(・・・・っていうか、イワシの頭も信心から、って感じだな、ここまでくると(笑)。)