悪魔の囁き、そして月下の復讐。





日曜日の夕方。夕食をレストランで食べる約束をしていた。
問題は 『どこで、何をたべようか??』 ということである。そこで、わたしとつれあいは、あるゲームで”夕食のメニューを決める決定権”を賭けて勝負をした。そして、見事に私の勝利。


「じゃぁ、今夜は○○の石焼ビビンバ食べに行きましょ。」


というと、勝負に負けたつれあいは、


「ちぇ〜〜〜っ・・・俺、○○のお寿司が良かったのに・・・」


と、不服顔。そこへ息子がやって来て、


「あ、僕もお寿司がいいなぁ・・・・」


と、つれあいに援護射撃。そこへおばあちゃんもやって来て、


「あ、今夜はお寿司かい??」


と、まさかのダメ押し。


「ダメ!!私が勝負に勝ったんだから!!!」


と私も踏みとどまって応戦するが、思いもかけず戦況不利である。そして話し合いは決裂し、つれあいから痛恨の一撃。


「じゃぁ、月下は留守番!!」
「お〜〜そうか、そうか、上等じゃぁ!!!」 ・・・・まさしく、売り言葉に買い言葉である。


しかし、納得がいく・・・・ワケがない。
『食べ物の恨みは恐ろしいのだ・・・』 と、ひとり復讐を心に誓う月下である。


翌朝。
いつも通りに目を醒まし、家族が出掛けていくまではちょっと忙しい時間である。朝食も作らなくてはならないし、つれあいにお弁当も持たせなきゃならない。


・・・・お弁当。お弁当?


私の中で、悪魔が囁く。
『チャンスだよ、月下。きっちりと復讐するんだ!!』


私はお弁当箱にうすくご飯を敷き詰め、そのうえに海苔の佃煮をべったりと塗りつけた。割合的にいうと、ご飯3:佃煮7といったところか。もちろんおかずはナシ。・・・・真っ黒の、世にも不気味な弁当が出来あがった。


さてさて、ランチタイム。うちは自営業なので、職場で、私もつれあいと一緒にお弁当を食べる。もちろん私はフツーのお弁当。卵焼きやら、タコさんウィンナーやらが詰まっている。


「いただきまーす」
「いただきまーす・・・って、なんじゃこりゃぁ!?」


お弁当箱のふたを開けて、つれあいが思わず驚愕の悲鳴を上げる。そりゃぁそうだ。なにしろ真っ黒である。視覚的には極めてグロテスクだ。そのうえ、半端じゃない量の佃煮である。ちょっとこれは食べられない。


つれあいが、私のタコさんウィンナーを机の向こうからじぃーーっと見ている。


               ”復讐完了 ・・・・( ̄ー ̄)ニヤリ・・・”





■オマケ■

この話を弟にしたところ、「うちの社長、奥さんと喧嘩したら、翌日の弁当、おかずに『コアラのマーチ』が入ってたぜ。」とのこと。


コアラのマーチ・・・・これは使える。 つれあいよ、いつでもかかってこい!!!