最悪の事態シュミレーション。





最悪の事態をシュミレーションしておく、というのは悪いことではないと、月下は常々思っている。別に私がネガティブな人間というわけではない。決してポジティブな方ではないけれど。いや、どっちかって言うとネガティブな方なのかなぁ・・・・まぁ、どっちだっていいや。


ある日、1人の見知らぬ女性がうちにやってくる。腕には赤ん坊を抱いている。そして、「おたくの御主人の子供です」と言う。さぁ、どうする?


そうしたら私は二つの選択肢を提示する。


1.赤ん坊はあなたが勝手に育ててね。妻子持ちと知って生んだのだから、
  当然だよね。
  認知もしないし、金銭的援助もしないけど、悪く思わないでね。


2.赤ん坊は私が生んだ子として、私が責任もって育てるよ。置いて帰ってね。


さぁ、どっちにする?好きな方を選んでいいよ。私って心が広いね。優しいね。本妻が私みたいな女で良かったね。大事な問題だからね。よ〜〜く考えてね。
さぁ、コーヒーをどうぞ。お砂糖は入れる?


この話し合いに、つれあいはもちろん参加できない。その場に立ち会うことも許されない。すべては女同士の話し合いである。


結論が出たら、そのまま弁護士事務所に行く。そこで事の経緯を話し、彼女が子供の父親に関する情報を子供本人および周囲の人間に流布しないこと、あるいは、私が引き取った場合には、今後一切子供にかかわらないことを誓約してもらうための手続きを取る。法的に、なにかしら効力を持つものでなくてはならない。方法は何かしらあるだろう。


これでおっけー。万事解決。めでたしめでたし。いずれにしても、つれあいは一生私に頭が上がらない。



これは、『つれあいが浮気して子供ができちゃった場合』というシュミレーションである。


もしかしたら、現実はこのシュミレーション通りにいかないかもしれない。しかし、これだけ具体的な流れが頭の中に構築されていれば、間違っても慌てふためいて、取り乱すようなことはあるまい。


これで安心だ。 C= (-。−) ふう・・・



で、このシュミレーションをつれあいに話して聞かせる。


「・・・とまぁ、こういうわけだからさ。一応頭に入れておいてよ。」

「そのシュミレーションを聞いただけで、意味もなく反省してるオレって、すごく小市民だと思うんだよね・・・」


それは・・・どうなんだろうね。ふふふ。


ちなみに、つれあいの友人♂にも、このシュミレーションを話してきかせた。彼は妻帯者であるにもかかわらず、目下彼女と交際中。


「・・・・ってことにしたんだ。いい考えだと思わない?」

「月下ちゃんってさ・・・・にこにこ笑って引き金を引くタイプでしょ。コワイよねぇ。」


はい。その通りです。月下はにっこり笑ってトドメを刺します。
彼の顔に引き攣った笑みが張り付いている。私はそれを横目で見ながらにやにやしている。そういうのって、とても楽しい。


「女は怖いよぉ。キミも気をつけないと寝首を掻かれるようなことになりかねないよぉ」

「llllll ( ̄▽ ̄;) ア、アハハllllll・・・・」


世の殿方よ、お気をつけあれ・・・・( ̄ー ̄)ニヤリ・・・