マンドラゴラのこと。 (投稿者:ミケ様)





訪問者のミケさんが、掲示板に面白いお話を書いてくれました。マンドラゴラという植物のお話なのですが、掲示板に書かれていたのでは、いずれ流れてしまうので、それではもったいないと思い、ミケさんの承諾を得て、エッセイに加えさせて頂きました。
ミケさん、ありがとうございました。

・・・・というわけで、今回はミケさん発、マンドラゴラのお話。




 + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + ++ + +




マンドラゴラという植物を御存知ですか?

この植物に興味を持ったのは澁澤龍彦の著作「毒薬の手帳」や「黒魔術の手帳」に、人間の姿をした根を持つ不気味な挿絵と供にマンドラゴラの記述が興味深く書かれていたためでした。


魔女が箒に乗り空を飛んでいますよね。実はあれ箒で飛ぶのではなく【空飛ぶ軟膏】を体に塗り飛ぶそうです。その軟膏の材料がマンドラゴラなんです。おそらくマンドラゴラの幻覚作用により飛んだように感じるのではないのでしょうか。
そして魔女は、このマンドラゴラを媚薬の材料にも使うのですね〜。オペラ『トリスタンとイゾルデ』に出てくる媚薬(惚れ薬)も、この魔女の媚薬です。


しかし、このマンドラゴラを手に入れるのは大変で、汚れた人間が近づいただけで逃げていってしまいます。
斎戒沐浴し、日や時間の選択も重大で、その後、あらゆる儀式をした後に抜くのですが、根を掘り出すとき、ものすごい悲鳴をあげるのです。それを聞いた人は発狂して死んでしまうので、犬と、この根をロープでしばり、人間は遠く離れ、かつ耳栓をして、犬を引っ張ります。根が掘り出されると、犬は死んでしまう、という仕組みです。


ジャンヌ・ダルクも、イギリス軍につかまった後、いわゆる魔女裁判の告発状の罪状の一つに、マンドラゴラを隠し持っていたっていうのも、ありましたね。


さてさて前置きは、これくらいで(やけに長い前置きだ!)

従兄弟の嫁さんが園芸が趣味で、ガーデニングの雑誌に載ったくらいですから、趣味っていっても、なかなか本格的なんです。
植物の種なども、イギリスやアメリカなどから直接に個人輸入しているくらいなんです。たまたま、そのカタログを見たところ、なんとマンドラゴラが、あるではないですか!もちろん私は、今度、注文をするときは一緒に頼んでくれと言ったのでした。


上手く育ったらマンドラゴラを、どうしようかな・・・【空飛ぶ軟膏】を作るか【惚れ薬】を作るか・・・ふふふ。

・・・・って、私は魔女には、なれないかのか〜チャンチャン。

(月下注:ミケさんは男性なので、魔女は無理ですね。魔男ならどう?)




+ + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + ++ + +




面白いお話ですねぇ。マンドラゴラ。恐いですねぇ。その容姿といい、断末魔の叫びといい、想像力を掻き立てられます。

この不気味な植物を、犬に抜かせるっていうのは、私、何かで読んだことあります。犬にしてみたら、いい迷惑ですよね。でもって、人間は耳栓詰めて、遠く離れる。人のエゴって恐ろしいです。一番恐いのは、やっぱり人間です。はい。

ちなみに、”汚れた人間が近づくと逃げる”っていう話ですから、まぁ、月下は到底入手不可能でしょう。ふやけるほど沐浴しても、無理でしょう。わはは。