えっとぉ、え〜、文化についてのアレだよ、あのぉ・・・・。
月下は脳科学関係の本が好きです。難しくてよく分からないなりに(笑)、楽しく読んでいます。そんなある本の一節に、こんな内容のことが書かれていました。
『人間の脳と、コンピューターの最大の違いは、創造的であるか否か?ということ』
・・・・なるほど。 コンピューターに何かを作り出すことは出来ない。しかし、人間の脳には、新しいものを作り出す能力がある・・・・というお話。
『人間の脳には、新しいものを作り出す能力がある・・・・』
私はね、このことがすごく不思議なんですよ。とりわけ、形を持たないものが生まれて、流布していく過程というのは、考えれば考えるほど興味深い。
もともとは、何もなかったわけですからね。
『エリーゼのために』 という、誰もが知っているであろうあの名曲も、明治の文豪が世に残した傑作 『我輩は猫である』 も、最初からあったわけじゃない。 最初は何もなかったんです。ベートーヴェンが、漱石が、この世に生み落とすその瞬間までは、なかった。何もない状態から、ただ、人が思考することだけによって生まれたのです。たった1人の人間の、1000億の脳細胞によって紡ぎ出されたメロディであり、言葉なのです。
こうして生み出された形のないものが、時に原稿用紙に書き込まれ、時に五線譜に記録されて広まり、次第に多くの人の共通理解となっていくわけですが、この 『何もないところから生まれた形のない何か』 を、次の世代へ、さらにその次の世代へと繋いでいく、そのリレーそのものが、文化なのかな?・・・・というふうに、月下は思ったりします。
そこへいくと、絵画や彫刻っていうのは、どうなんだ?という話になるわけですな。
あくまでも私個人の気分ですが、音楽・文学といった文化と、絵画・彫刻といった文化は、同じ文化という括りではあっても、なんとなく違うような気がするんですよね。 音楽や文学が形のない文化だとすれば、絵画・彫刻は、ものに形を与えることで成り立っている文化であるような気がするのです。
つまり・・・・
誰がどんな紙に、どんな筆跡で、どんなふうに書き記しても、エリーゼはエリーゼだし、我輩はやっぱり猫なわけで、この場合、それらが記録されたモノ自体に価値があるわけではないんですな。まぁ、直筆原稿とかっていうとそれなりに価値はあるわけですが、その価値っていうのも芸術的価値ではなく、記念品としてのそれに近い。
そこへいくと、絵画・彫刻では、事情がかわってきます。 絵画・彫刻は、出来上がった作品そのものに価値があるわけです。たとえ見分けが付かないほど精巧に作られたとしても、贋作やレプリカには価値がなく、オリジナルであることこそが重要なのです。
そして、それらを次世代に繋いでいくには、その作品を、所有者がきちんと保管しておけばよい。・・・・そう。この所有者がいるっていうのも、音楽・文学とは異なるところですよね。
もちろん、絵画・彫刻に関して、月下はまったく何もわからないので、こういう捉え方が正しいのかどうかは・・・・わかりませんけど(爆)。まぁ、月下は漠然と、なんとなくですが、そんなふうに感じるわけです。
さて、話が脱線しましたが・・・・えっと、あぁ、文化のね、形がないって話ね。
ところで。
月下は趣味でピアノを弾いたり、教えたりするわけですが、所詮素人なわけで、別にたいして上手いわけでもないんですよ。 ゞ( ̄∇ ̄;) ぉぃぉぃ…
でも、ピアノ弾きって、弾き続けなきゃならないんですよね。技術を維持したり、向上させたりするためにも弾き続けなきゃならないし、もっともっといろんな曲が弾きたいと思えば、やっぱり練習するしかないわけです。
でね、そんなふうに練習してるとね、ふと思うわけですよ。 『何でピアノなんか、弾いてるんだろ〜・・・・』 って。もっともっと上手い人はいくらでもいるし、何も私が弾かなくたって、いいんじゃないの〜?・・・・ってね、思うわけです。
でもね、最近、つらつらと考え事をしていて、ふと気付いた事があるんですよ。
絵画や彫刻は作品というモノ自体が受け継がれていく文化なのに対して、文学や音楽はモノ自体が受け継がれていくのではない文化だからこそ、より確実に次世代に受け渡されるためには、より多くの担い手が必要なのではなかろうか?
確固たるモノに寄りかからない種類の文化だから、一握りのエキスパートだけにその未来を託すのではあまりにも不安定であり、だからこそ、月下のような素人を含む広い底辺を持ち、その頂点にプロの演奏家がいる、という大きなピラミッドの存在が不可欠なのではなかろうか?
・・・・そんなふうに思ったりするわけです。
そんなふうに考えると、自分がこうして弾く事も、あながち無駄でもないのかなぁ?この世に生まれて、生かされている私の、これもささやかな役目なのかなぁ?・・・・なんていう気もしてくるわけですが、どうなんでしょうね。
|