中学受験ってさ、親も試されてる気がする。





さて、月下の息子は、この春から中学生になりました。
ついこの間まで、泣きながら保育園に行ってたと思ったら、もうあっちこっちに毛の生えるお年頃になってしまいました(なんか他に言い方ないのか?)。


早いもんですな。


さて、息子は小学校4年生の時に塾に通い始め、私立の中学に進学したわけですが、中学受験というイベントを経験した感想など、思いつくままにつらつらと書いてみようかと思います。


まず。
塾に入れたからといって、何もかも塾任せにしちゃぁダメだよ、お母さん・・・・ってこと。塾にさえ通わせておけば、月謝さえ払っていれば、あとはどうにかしてもらえると思っていたら、ヒドイ目に遭います。塾では、受験に必要なノウハウを教えてくれるけれど、それをしっかりと定着させるにはやっぱり家での勉強が大切ですよね。そのために、時には親のサポートだって必要です。だってさ、いくら生意気なこと言ってたって、奴等はまだほんの子供なんだから。


ところが、これをやらない人が結構多い。でもって、定期テストで子供がオソロシイ点数を取ってくると、とりあえず叱り飛ばす。叱るだけ叱ると、もう自分の仕事は済んだみたいに、また全てを子供任せ、塾任せにしてしまう。


これじゃぁ、子供が可哀想ですな。


それと、何でもかんでも取り上げてしまう親ね。
勉強の邪魔になるから、ゲームは禁止。遊びに行くのもダメ。それじゃぁ、さぞかし親が付きっ切りで頑張っているのかと思いきや、ただ子供を部屋に閉じ込めておくだけで、具体的なサポートはなし・・・・何ですか?それってちょっとした幽閉ですか?っていう(笑)。


息子と一緒に受験した男の子は、そんなふうに家に閉じ込められて、トイレの窓から脱走して、サンダル履きのまま、うちまで逃げてきた事とか、2回くらいあったしね。いや、まじで。すぐにお母さんが来て、連れ戻されちゃいましたけどね〜。
ちなみに、彼は受験に失敗しました。えぇ、現実とはそういうもんです。


そう。


結局、中学受験なんて、子供にとったら迷惑な話なわけですよ。友達がみんな遊んでいる時間に塾に行かなきゃならないし、友達がみんなテレビを観ている時間に勉強しなきゃならないし、友達がみんなゲームに興じている週末にも模擬テスト受けに行かなきゃならないし。良いことなんか、ひとつもない。


自ら、「僕、私立に進学したいので、受験させてください」って言い出す、殊勝な子供(そんな子供がいるのかどうか知らんが・・・・)は別として、多くの場合、中学受験というのは子供がするんじゃなくて、親がさせてるわけですよね。
もちろん、それがその子にとって最良の進路だと判断したからこそ、受験に向かったのだとは思いますが・・・・でも、でもね、子供はやっぱり遊びたいんですよ(笑)。


模擬テストで100点取るより、モンスター・ハンターでティガレックス倒す方が嬉しいんですよ(あれ?うちの子だけですか?)。まぁ〜そんなもんですよ。


『どうして僕だけ塾通いなの?どうして受験しなきゃいけないの?』 ・・・・そういう素朴な疑問にキチンと答えてあげることが出来て、初めてスタートラインに立てるのだと思うし、そういうレールを敷いたのが親である以上、受験というものを子供の問題にすり替えて逃げるのはズルいです。


つまり、いくら子供の将来のためとはいえ、現時点では子供が望まない事を無理にさせているわけですから、それでも受験をさせるのであれば、親もそれなりの覚悟を持って責任を果たさなくてはいけない、ということですな。


『うちの子の受験』 は、すなわち、『あんたの受験』 ですよ、お父さん、お母さん。


それともうひとつ。
受験は短期決戦で決着がつく勝負ではありません。2年、3年という準備期間が必要な取り組みです。そして、その数年間、受験生もそうでない子供たちも、たった一度しかない少年時代・少女時代を生きているわけです。


だから、受験生だからといって、あまりにも多くのことを犠牲にするようなことがないようにしなくてはいけないと思います。勉強時間も確保しながら、あるいはお稽古事も続けながら、時間の許す限り、受験生としてではない、ごく普通の子供として、のびのびとやりたい事をさせてあげるのが、大切だと思います。


受験生でありながら、学校行事も放課後の遊びも満喫した息子の言葉を借りれば、『いっぱい遊ばなきゃ、勉強なんかしてられないのさ〜♪』 だそうです。


・・・・リアルですね(笑)。


息子が通ってきた受験生活が、ベストだったとは思いません。もっと良い方法があったかもしれません。私にも、至らないところがたくさんあったことでしょう。しかし、これから受験する小学生をお持ちのお父さん、お母さんに読んでもらって、ちょっとでもお役に立てればいいな、と思います。


そして。
もしも明日あなたが、すっかり暮れた街角で、重そうな鞄と空腹を抱えたまま、塾の扉から吐き出され、家路を急ぐ少年・少女たちを見かけたら、きっと小さくエールを送ってあげてください。