与えるべきもの、そして、与えられるべきもの。





およそ世の中では、与えるべきものの量と与えられるべきものの量が釣り合っているのだ・・・・というのは、月下の基本的な考え方のひとつである。


たとえば。


誰かが困っているとする。
お金がなくて困っているのかもしれないし、子供を預かってくれる人がいなくて困っているのかもしれないし、もっともっと他の、いろんな理由で困っている人だ。


そんな人に、手を差し伸べることが出来る人がいる。
「このお金、使いなよ」と言って、3万円差し出す人かもしれないし、「子供見ててあげるから、用事を済ませておいで」と言って赤ん坊を預かる人かもしれないし、もっともっといろんな方法で、手を差し伸べることが出来る人だ。


世話になった。とても助かった。いつか彼が、あるいは彼女が困った時には、私が助けてあげよう。いつか必ず恩返しをしよう。
・・・・しかし残念なことに、そのチャンスが必ず巡ってくるとは限らないのだ。


けれど、それで良いのだと思う。


助けられた、世話になった、その気持ちを、その相手に直接返すことが出来なくても、もしもいつか、目の前に困っている人が現れた時、今度はその人の為に、自分が出来ることをしてあげられたら、それで良いのだと思う。
そして、いつか自分が困ったときに、手を差し伸べてくれる人がいたなら、今度は有難く甘えたら良いのだと思う。


つまり、マンツーマンで釣り合いをとる事は、難しい。しかし、世の中全体を見渡したとき、与えるべきものの量と与えられるべきものの量は、どこかで必ず釣り合っているのだ。そして、本当の意味で、世の中と関わり合うということは、なんというか・・・・そういうことなんじゃないかと、思ったりもする。


月下はなんとなく、ただなんとなく、そう思っている。


だからこそ、私にも、誰かの為に出来ることがあるのなら・・・・ましてや 「やって下さい」 と言って頭を下げる人がいるのなら、私はおそらくやるべきなのであろう。いや、やらねばならないのだろう。


そんなわけで、月下は4月からPTAの副会長になるらしい。


『え゛〜〜マジでぇ??マジであたしがやんのぉ?え゛〜〜え゛〜〜・・・・やだよぉ〜勘弁してよぉ!!せめてジャンケンで決めよ〜ぜぇ〜〜・・・ねぇってばよぉ・・・』


・・・・っていうか、月下さん。前振りが立派だった割に、往生際悪いです(爆)。