月下、ちょっと死にそうになったよ、えへ。





さ〜〜て、今回は・・・・
『月下の医療ボランティア フィリピン・スラム街巡り(爆) -番外編- 』 とでも題して、死ぬほど怖かったセスナの旅の模様をお送りしたいと思います。


医療ボランティアでフィリピンに行った月下たち一行は、マニラからセスナに乗って、とある離島に向かいました・・・・が、なにしろそのセスナがすごかった。


まずですね、飛行場に着きました。飛行場といっても、原っぱを一部分舗装しておきましたから、使いたい人はどーぞ、みたいな、相当投げ遣りな感じの飛行場ですよ。で、そこに、”あんまり乗りたくね〜なぁ〜〜” という雰囲気まんまんのセスナが数機並んでおりまして。


「あそこの、水色のヤツはイヤだなぁ・・・なんか、ダメっぽい気がする。」
「向こうのオレンジ色の方がヤバそうだろぉ〜・・・」


なんてことを言い合っておりますと、ようやく搭乗の声がかかりました。


目の前に現れたセスナは、まぁ、可もなく不可もなく、どーせ、どれもこれもヤバそうに見えるわけで、この際そういうことは出来るだけ考えないようにして、みんなニコニコと乗り込もうとした瞬間、コーディネーターからストップの声。


「体重測定をします。」
「?」
「体重測定をします。」
「??」
「小さな飛行機なので、乗る人の体重をうまく振り分けて、バランスをとるんです。」「・・・・はぁ。 ( ̄▽ ̄ i) タラー」


セスナって、そんなもんなのか?なんだかよく分かりませんが、異国の空に散りたい人間なんているわけもなく、言われるままに、飛行場のおっさんが持って現れたヘルスメーターに乗って、順番に体重測定です。


「手荷物のある人は、それも持った状態で計測してください」
「・・・・え、そんなに厳密なんですか?? ( ̄  ̄;) ほんとに、大丈夫なのか?」


全員の測定が終わると、荷物を積み込み、それから人間が乗ります。「えっと・・・・ミセス竹中はそこ、ミスター山本はそっち・・・・」という具合。ちゃ〜んと、バランスを考えて、席を割り振られるわけです。そして、全員が乗り終わると、ハッチが閉められ、そしてなぜか、おもむろに配られるウチワ。


「何に使うんだろーね?」
「ウチワの使い方っていったら、大体決まってるだろー・・・・」
「・・・・ってことは、クーラーとか、ないんだよね・・・・」


それでなくても暑いのに、ちっこいセスナに詰め込まれ、飛行機だもんよ、そりゃぁ窓なんか開くわけもなく、1分もしないうちに、滝の汗。


”早く飛びたて、早く飛びたて・・・・” まぁ、飛び立ったところで涼しくなる保障はないんですが、こうして地面にいるよりは、なんか気も紛れるだろー・・・という程度の、淡い期待を胸に抱きつつ、ひたすら待つ。待つ。待ちますとも。えぇ、待ちますとも。
みんな、ばたばたとウチワを使うけれど、むさ苦しい空気を悪戯にかき混ぜるだけで、涼しくなんかなるわけもなく。全員が ”蒲焼ですか?焼き鳥ですか?” という状態であります。


もうだめだ、死ぬぅ〜〜・・・と、あまりの暑さに意識も遠のいてきた頃、ようやくセスナはよろよろと動き始め、よっこいさぁ〜〜!!どっこいしょぉ〜〜!!という感じで無事に離陸。思わず歓声が上がり、拍手も出るってもんです。


上空は快晴。ひととき、暑さも忘れ、窓にへばりついて遥か下界を見下ろしてはしゃいでおりましたが、気付くと、どこからか涼しい風が・・・・


「クーラー、入ってるじゃん!!」
「ほんとだ。涼しい風が来るぞ。」


喜ぶ私たちに、コーディネーターは言いました。


「外気だそうです。」
「外気?」
「はい・・・・スキマ風っていうんですか?」
「スキマ・・・・Σ(|||▽||| ) クーラーじゃなくて?」
「はい、スキマ風で・・・・」


・・・・聞かなきゃよかった。 (T-T ) ウルウル


まぁね、スキマ風くらい、どんまい、どんまい ゞ( ̄∇ ̄;) ヲイヲイ。
そんなちっさい事を気にしてたら、この国は旅出来ないんだよね。フィリピンばんざい。スキマ風ぶらぼー。


「あ・・・・」
「月下、どした?」
「プロペラ止まった・・・・」
「・・・・」
「プロペラ止まった・・・・」
「止まったんじゃなくて、止めたんだ。」
「そっかぁ〜止めたのかぁ、なぁ〜んだ・・・・っていうか、絶対?」
「当たり前だろ? ( ̄∇ ̄;) ハッハッハ… 」


・・・・見なきゃよかった。 (T-T ) うぅ…


最初のうちこそ、暑いの狭いのと文句も出ましたが、いつしか機内には重い沈黙が・・・・しかし、私たちの快適な空の旅も、程よい緊張感に包まれたまま、いよいよ終わりに近付き、ようやくコーディネーターが口を開きました。


「まもなく着陸です。多少の衝撃が予想されますので、ベルトをお締めください」
「多少って・・・・どのくらい?だいたいどのくらい?? (T-T )( T-T) ウルウル 」


すると、まもなくセスナは急降下。降下してるんですか?それとも落ちてるんですか?くらいの急降下。もはや悲鳴も出ません。人間って、本当に怖いと黙るんですな。


だめだ、死ぬ、死ぬ、だって、この飛行機、落ちてるもん。どう考えても、フツーに落下してるもん。だめだ、だめだ〜〜・・・ 号 (T∇T )( T∇T) 泣


・・・・そして、”今のは、不時着ですよね?炎上とか、しませんかね?” くらいの、”多少の” 衝撃とともに、私たちは再び地上の人となりました。めでたしめでたし、そして、乗客一同、茫然自失(笑)。 llllll(− −;)llllll ・・・・


ようやく我に返って、まぁ、とにかく降りましょうよ、という話になったんですが、今度はハッチが開かないんですな、これが。さっきの ”多少の衝撃” で、ぶっ壊れたらしい。おいおい。


でも、ついさっき、三途の川に爪先くらいは浸かっちゃった連中ばかりですからね。んな、ハッチがぶっ壊れたくらい、屁でもないですよ。機内から、体当たり、そして体当たり、もういっちょ、体当たり。よってたかって、さんざん乱暴狼藉を働いているうちに、ようやくハッチオープン!!機内から、雪崩のように転がり落ちた私たちでした(爆)。


擦りむいた膝やら肘やらをさすりながらあたりを見回すと、これがまた、おっそろしくだだっ広い飛行場で、遥か遠くにどうやら事務所らしき建物が見えるんですが、それが、”あれって、蜃気楼ですかねぇ?” くらいの距離なんでありまして。


あそこまで、歩くんですか?まさか歩くのか?歩くのかよ?あの大荷物担いで、歩くのかよ!!!・・・・なにしろ医療器材持ってますからね、大荷物なわけですよ。


なんでこんな中途半端な場所に着陸したんだよ!!という文句が喉元まで出掛かりますが、さっきのは着陸っていうより不時着みたいなものだから、贅沢はいえないのかなぁ・・・・と思ってみたり。
そうか、着陸に失敗したんじゃなくて、不時着に成功したんだ。そうか、私たち、ラッキーじゃん!!・・・・と思い直し、生きていることに感謝さえしてみたりするわけです。暑さと恐怖に当てられて、月下、いつになくポジティブです。


神様、ありがとう。アーメン。


みんなどうやら正気に返り、手分けして荷物を担ぎ、遥か彼方の建物に向かって歩き出しました。暑い。とにかく暑い。フィリピンといえば、1年を通して気温・湿度の高い熱帯モンスーン型気候ですからね。それはつまり、”炎天下のアスファルトを大荷物担いで歩くには、ちと不向きな気候です” という意味ですからね。わかりますね?そんなわけで、死ぬほど暑い。飲料水のボトルは、さっきの不時着騒動で、どこかへ行ってしまったし。・・・・これって、ちょっとした遭難じゃないのか?もうちっと待ってたら、救助が来るんじゃないのか?(来ねーよ  (-゛−メ) )


朦朧としながら歩いていると、どこからか音楽が聞こえてくるんですね。「あぁ、だめだ。幻聴まで聞こえ始めた・・・・」 と思いながらふと目を凝らすと、目指す建物の前に人がいる様子。それも、一人二人ではなく、結構たくさん。
・・・・彼らは、私たちのために、歓迎のラッパを吹いたり、踊りを踊ったりしていました。


||||||||||||||あはは (T▽T) はは…||||||||||||||||


踊りとラッパはいらないから。歌も歌わなくていいから。
こっち来て、荷物運ぶの手伝え!!


そんな私たちの思いを知ってか知らずか、結局ラッパは鳴り止まず、歌声は響き渡り、人々は踊りまくり、そして、倒れこむようにしてようやく辿り着いた私たちに 「ウェルカム ( ̄ー ̄)ノ” 」 と言って、首にきれいなレイをかけてくれたのでした(爆)。


「ウェルカム」・・・・よく来たね〜〜じゃねぇよ。死ぬかと思ったよ。
なんかちょっと耳鳴りがするし、目もかすむよ。


・・・・というわけで、いやぁ〜〜・・・・フィリピン、恐るべし。