『春陽』 そして 『アネモネ』 へ。





『春陽』 そして 『アネモネ』 という題名の、二つの短編小説を掲載しました。



『春陽』 を書いたのは一年ほど前、それからしばらくして、『アネモネ』 を書きました。


”これらの文章のなかで、私は一体何が言いたかったのか??”・・・・そういうもっともらしいことを訊かれると、わりと困ってしまいます。なぜなら、そこには何ら主義主張なんて、ないんだも〜〜ん。


ただ、ふとした瞬間、私の中に浮かび上がり、しかしまた、意識の淵に沈みこみ、浮かび上がり、沈み込み・・・・何度も何度も浮沈を繰り返していたあるイメージに、言葉という形を与えただけのことです。そして、そうすることによって、自分でもそれを手にとって客観的に眺めることができたり、するのかな・・・・・と、思ったりしただけです。そう、客観的に見てみたかったんですね。自分の中に感じる何かを、ですね。


私は、そんなふうにして 『春陽』 を書きました。


書いてからしばらくすると、今度は 『春陽』 とはまったく反対のベクトルを持つものにひどく惹かれるようになりました。まるで、私の潜在意識が、正と負のバランスをとろうとしているように。


こうした思いに憑かれて書いたのが 『アネモネ』 です。


今、こうして読み返してみても、ちょっと極端なくらい正反対の世界ですね。


どちらの作品にも、固有名詞をもった人物は登場しません。主人公は二人の ”僕”。
この二人の青年が同一人物であるという意識はまったくありません。この二つの作品は、あくまでも別のものです。しかしこうやって、二つの作品を振り返ってみると、彼らは同一人物の裏と表、あるいは陰と陽であるような気もしてきます。


そして、どちらの作品にも、ストーリーらしいストーリーはありません。ヾ(ー ー;) ォィォィ という感じですが、まぁ、私が書くものなんて、所詮その程度です・・・・(笑)
・・・・というか、何かが起きる、その事象の変遷を追うよりも、むしろ、そこに漂う気配のようなものを呼吸できるような作品にしたいと思いました。



二つの作品、短編ではありますが、お楽しみ頂ければ幸いです。