腰痛

病名・症状名 治癒 改善 不明 不変 総数
腰痛 88 254 90 8 440
  ギックリ腰 73 34 23 2 132
慢性腰痛 15 220 67 6 308
  下虚・上実形腰痛 7 17 9 0 33
肝虚・脾実形腰痛 9 3 5 10 17

当院で最も多い症例で、治る確率も高いようです。特にギックリ腰ですが、3割異常の方が三日以内に治っています。

症状について

初発時に鍼灸や整形外科医等の診察を受ける事が出来れば良いのですが、何らかの理由で受診できない場合は、飲酒や入浴(シャワー程度は良い)等の暖まる事柄を避け、患部に冷湿布を貼って股関節を曲げて(膝を抱くような形)休んで下さい。何とか起きあがって僅かでも歩けるようになったら見せて下さい。辛いときには、サラシ等を腰に巻き付けて固定するのも良いのですが、楽になったら固定物に頼らない方が良いです。三日間続けて通院して頂き、全く痛みが変わらない場合は鍼灸治療のみでは治らない事もありますから、医師の診察を受けて下さい。

ギックリ腰が数日で治る場合は、腰の筋肉や筋膜の一時的な炎症である事が多く、さほど心配する必要はありません。再発を繰り返したり頑固な疼痛が慢性化する時は、腰及びその周囲の骨や内臓に病変が及んでいる事があります。

皆さんも良くご存じの[腰椎ヘルニア]ですが、手術をしなければならないケースは5%前後とされており、その他は[保存療法]といって薬物・物理療法で治しています。その保存療法のお手伝いが出来るのが鍼灸であると言えるでしょう。また、分離・辷り(すべり)症、圧迫骨折等に対しても、専門医の診療と併用して鍼灸治療をしますと良い結果が期待できます。

腰痛と共に全身のアンバランスを整えるというのが鍼灸の最も得意とする所です。当院のカルテを集計したところ下虚・上実症状といって、腰から下が冷え・だるさ・痺れ等の症状があって、上には肩こり・頭痛・のぼせ等の症状の患者さんがありました。これに対して、尾てい骨の先端で肛門との間にある[長強]というツボに4センチ程度鍼を15分程刺しておいたところ、前述の症状が治癒あるいは改善した方が7割以上ありました。
 腰痛の患部に鍼灸をするよりも、手足のツボを使って経絡のバランスを整えた方が治る事があります。たとえば[肝虚脾実証]という症状群があります。その症状は腰痛はもちろん、眼の異常、耳の詰まったような感じ、胃もたれや下痢・便秘、筋の痙攣(特にふくらはぎ)等です。これらの症状が幾つかあって脈診・腹診等で[肝虚脾実証]が確認されますと、肝経の衰えを補って脾経の高ぶりを抑える治療を手足のツボで行います。不明という評価の症例は1回の治療で治ったか、[正復反応]といって腸の中にある不純物を排除する作用として下痢になった事が考えられます。このように、治療後に予測外の症状が出た時には遠慮なくお電話下さい。
 上の症例の場合それぞれの専門医の診察を受けるという事になりますと、整形外科はもちろん、眼科、耳鼻咽喉科、消化器内科に行かなければなりません。鍼灸治療の場合、全身を総合的に診療し、疑問があったり治らない部分は専門医の受診をお勧めしております。

再発防止のために

治った後の再発予防法ですが、お腹・腰背・下肢の筋力を強化する事が大切で、一番良いのが歩く事です。この時には、物を持たないで腕を十分に振れるような状態で行います。このような筋力の強化がどうして腰痛予防になるのかを考えてみましょう。
 人類の祖先は4本足動物でした。それが2本足で歩くようになりますと、前述の筋群と頭を支える頚肩の筋肉に負担が掛かるわけです。肩こりや腰痛がなかなか治らない時は、患部の緊張緩和や血行改善の治療と共に職場環境や家庭環境を再点検して頂き、運動不足や無理な筋肉の使い方をしていないかどうかを確認して下さい。


この他にも腰痛と他の部位の関連したケースはたくさんありますが、ここでは省略させて頂きます。とにかく、軽症の症状が全身に点在する場合は鍼灸院においで下さい。


治療実績へ

トップページへ