小児科疾患

病名・症状名 治癒 改善 不明 不変 総数
小児科疾患 7 9 5 0 21
  小児喘息 5 2 1 1 9
夜泣き 1 1 0 0 2
夜尿症 0 1 0 0 1
風邪(小児) 0 3 0 0 3
スポーツ傷害(小児) 1 1 1 0 3

現在の西洋医学による医療制度が確立される以前は、総ての病気を鍼灸と漢方薬で治療していました。小児の鍼灸は[虫切りの鍼]とか[ちりげの灸]といって関西地方を中心に発展し、夜泣き・疳虫・夜尿症等を治し、現在でも高い評価を頂いています。

症状への対処

集計期間中における小児の患者さん(16歳未満)は21人で、その症状は夜泣き・夜尿症・虚弱体質・スポーツ障害で一定の改善が認められました。最も多かったのが小児喘息で、これらの患者さんのほとんどがアレルギーとの関わりが認められました。そこで大人も含めてアレルギーに対する私の考えを記しておきます。

西洋医学では激しいアレルギー反応に対する処置(喘息でいえば、咳や呼吸困難の時に点滴や吸入薬で発作を抑える事)が得意で、その後はアレルギー反応を起こす物質を見つけて環境調整を行うと共に、[減感作療法]といって、微量のアレルギーのもとを投与して抵抗力をつけるという方針で望んでいるようです。一方東洋医学的鍼灸術でもアレルギー症状に対する治療も行いますが、激しい時はお医者さんから処方して頂いた薬(喘息の吸入薬や皮膚炎の塗布薬等)を使用する事をお勧めしています。いつまでも劇薬に頼っていたのでは根本的に病気を治す事は出来ません。鍼灸術ではアレルギーのもとを見つける決め手はないので、特定のアレルギーのもとに強くなる治療法ではなく、個別の体質に応じて生命力(自然治癒力)を強化してアレルギー反応を起こさないような体を作る事を目的に治療をします。
 一番難しいのが環境調整です。合理的な大量生産時代の犠牲になったのが豊かな自然と人間の運動能力です。
 例えば水道水に対する不安を感じて、ミネラルウォーターや浄水器をご使用になっている方はたくさんいらっしゃいます。工場や自動車の排気ガスばかりではなく、ゴミ焼却時の煙から発癌性の[ダイオキシン]という物質が検出されました。また最近ミミズが少なくなっている事にお気づきでしょうか。私の編集している[茨師会情報]という機関誌に以下のようなレポートを投稿して頂きましたのでご紹介します。
 ミミズは、体重分の土を食べて逆立ちになって食べた土の2/3を地表面に排出するそうです。そして、農薬などを用いた畑には生息せず有機農法土壌には好んで生息し、また土壌の改良に貢献しています。故にミミズと土壌とは深い関係があります。このような自然環境の中で栽培・飼育された動・植物を飲食源とし、運動不足になれば細胞が活性化せず毒素が体内に蓄積してしまい色々な病気の原因になります。頑固なアレルギー症状が治らないときは、身の回りの水・空気・土壌と食品を再点検し、元気に動ける身体づくりに励みましょう。

治療例

私が初めて小児科疾患の鍼灸治療を経験したのは学生時代の事です。視力に障害のある学生が県内全域から集まる盲学校では自宅からの通学が不可能な事が多く、小学1年生から卒業までを同じ敷地内の寮で生活する生徒が大半で、私もその一人でした。当時、最終学年の私に「小学1年生の男の子の夜尿症を見て欲しい」という相談を担当寮母より受けました。マニュアル通りの診察と治療をしたところ1回で見事に治ってしまい大変に喜ばれたのですが、その後の治療成績はあまり良くありませんでした。しかし鍼灸で病気を治せる事を確認出来ましたので、自分の目指す進路に対して自信を持つと共に、小児患者の診療を積極的に行うようになりました。


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